そんな場面を、いくつか持っている。

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雨雲ばかりの空が、ある時間を境に晴れ渡り
辺りの景色を一変させた。
見晴らしのよい丘の上で、広い景色を見ていたら、
ふと学生時代のことを思い出した。

新橋のキタムラでカバン売ってた時のことだ。

新橋という場所柄か、合理的なサラリーマン達は
カバンの中身をそのまま新しいカバンに詰め替えてゆき、
今まで使っていたものは、店で引き取り、処分してゆく人が少なくなかった。

一日の営業時間の終わりも近づいたとき、
一本の電話が鳴り、焦りの伺える声で、
昼間処分をお願いしたカバンの中に、白いお守りは無かったかと尋ねられた。

受話器を置いて、処分品として回収したカバンはどうなるのか上司に尋ねたところ
丁度今頃回収されている頃だという返事が、手を横に振る仕草と共に返ってきた。

僕は、既に回収されてしまっています、と返事を返した。

一日の立ち仕事で疲れていた。
一階の集配所まで駆け降りて回収品の中を一つ一つ確認する気にもなれなかった。

何故、今更思い出したのだろう。

お店の番号を調べ、焦った声で電話を掛けてきた、
彼の心情を察することは出来なかったのか。

その後、彼はどうしたのだろうかと、
しばし、考えて色々と想像した。

そんな想像力があるなら、あの時働かせればよかったのに。

僕は、そんな場面を、いくつか持っている。
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by arujiyanon | 2007-10-25 01:11 | 写真。
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